リンテック
アニュアルレポート 2017
【和訳】
LINTEC
ANNUAL REPORT 2017
目次 和文 英文
編集方針 P2 ―
ご挨拶 P3 P1
COVER STORY
(会社沿革、事業の強み、ビジネスモデル) P4 P2
経営戦略(トップメッセージ、CFOメッセージ) P9 P10
編集方針
本レポートは株主・投資家の皆様に、持続的成長と社会全体のさらなる発展への貢献を目指すリンテッ ク グ ル ー プ に つ い て ご 理 解 い た だ く こ と を 目 的 と し て い ま す 。IIRC(International Integrated Reporting Council:国際統合報告評議会)が2013年12月に発表した統合報告のフレームワー クを参考に 、業績・財 務 情報だけ で な く 、当社 グルー プ が築 き上げ て きた研究 開発力や 人材力 など の財 務諸表に は載ら ない
“見えざる資産”についてもご紹介します。
なお、本レポートで紹介しきれない情報は、下記ウェブサイトに掲載しています。
⇒IRサイト
⇒CSRサイト 対象期間
本レポートは2016年4月1日から2017年3月31日までを対象としていますが、一部の情報については2017 年4月以降の内容を含んでいます。
将来の見通しに関する記述
本レポートに掲載されている業績予想などの将来に関する記述は、当社が現在入手している情報および 合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その内容の正確性を保証したり、将来の計画数値、 施策の実現を確約したりするものではありません。実際の業績などは今後のさまざまな要因によって異な る可能性があります。
http://www.lintec-global.com/ir/ http://www.lintec-global.com/csr/
ご挨拶
リンテックは、創業から約90年、独自の技術力や人材を基盤として、食品や日用品などに貼られるラベル 用粘着製品から半導体・光学ディスプレイ関連製品などに至るまで、幅広い分野に多種多様な製品を送り 出してきました。
リンテックの社名には、人と人、技術と技術の融合によって新たな事業領域を切り開き、世界を舞台に飛 躍していこうという全従業員の決意が込められています。そして社是「至誠と創造」にもあるとおり、あらゆ るステークホルダーに誠実であること、革新の気概を持って新製品開発に挑戦していくことこそ、メーカー としての根幹であると考えています。
今後も、当社にしかできない価値創造を通じて社会に貢献し、持続的な成長を目指してまいります。 代表取締役社長
社長執行役員 西尾弘之
社是
経営理念
社名の「リンテック」、すなわち“リンケージ(結合)”と“テクノロジー”および社是「至誠と創造」に裏付けさ れる人の和、技術開発力を基軸とし、国内・海外の業界において、だれからも信頼される力強い躍動感あ ふれる会社として社会に貢献し、株主各位・顧客・社員家族の期待にこたえる斬新な経営を推進します。
会社沿革
COVER STORY
当社は1927年に不二商会として創業して以来、常に時代を先取り した技術や製品の開発を重ね 、着実 に成長してきました。1990年の3社合併以降は積極的に事業のグローバル化を進め、現在では海外でも 広くリンテックグループの製品が活躍しています。
積み上げた技術力
1927年に 包装用ガ ムテー プ メー カ ー とし て 創業 した当 社は 、木 箱に代 わっ て急 速に普及 した段ボ ー ル ケースの需要を受け、事業規模を拡大しました。1960年にはラベル用粘着紙の販売を開始し、その後さら に粘着フィルムも手がけることで、現在の主力ビジネスの礎を築きました。1970年代に二輪・自動車分野 や屋内外装飾分野に進出し、FSK株式会社への商号変更を経て1986年には革新的な製品開発により半 導体分野に参入するなど、時代の変遷とともに業容を拡大してきました。そして、1990年に四国製紙株式 会社、創研化工株式会社との3社合併によって、「リンテック株式会社」が誕生。製紙などの川上分野にま で技術領域を大きく広げました。
設立当初 ガムテープ UV硬化型ダイシングテープ
グローバル化の推進と研究開発力の強化――新たな成長ステージへ
合併後の1991年に、液晶用光学機能性フィルムの分野に参入。この頃から海外拠点の設立を本格的に 開始します。1995年には、現在、技術開発の中核拠点となっている研究所が埼玉県に完成しました。
2000年代に入ると、中国、東南アジアを中心に製造・販売拠点の拡充を加速させ、事業のグローバル化 を推進。2015年には、研究所の新棟として先端技術棟を増設し、さらなる研究開発力の強化を図りました。 2016年には欧米の3社を買収し、事業規模を一気に拡大させ、新たな成長ステージを迎えました。
リンテック・コリア社 先端技術棟 マックタック・アメリカ社
主な出来事
・1927年4月 東京・巣鴨に不二商会を開業。包装用ガムテープの製造・販売を開始
・1934年10月 不二紙工株式会社に商号変更
・1960年3月 ラベル用粘着紙の製造・販売を開始。後に粘着フィルムの製造・販売にも着手
・1970年代 屋内外装飾分野や二輪・自動車分野に進出
・1984年10月 FSK株式会社に商号変更
・1986年 UV硬化型ダイシングテープを開発、半導体関連事業に本格参入
・1990年4月 四国製紙株式会社、創研化工株式会社と合併し、リンテック株式会社に商号変更
・1991年 液晶関連事業に本格参入
・1994年2月 シンガポール営業所を開設
・1994年5月 ラベル用粘着製品の製造拠点として、リンテック・インドネシア社を設立
・1995年12月 埼玉県に新研究棟を建設
・2000年4月 エレクトロニクス関連製品の製造拠点として、リンテック・インダストリーズ(マレーシア)社を設立
・2002年6月 ラベル用粘着製品の製造拠点として、中国に琳得科(蘇州)科技有限公司を設立
・2004年9月 エレクトロニクス関連製品の製造拠点として、リンテック・コリア社を設立
・2011年6月 ラベル用粘着製品の製造拠点として、リンテック・タイランド社を設立
・2015年1月 シンガポールにリンテック・アジアパシフィック社を設立
・2015年5月 埼玉県に先端技術棟を建設
・2016年12月 米国のマックタック・アメリカ社を買収
事業の強み
COVER STORY
当社ではこれまで積み上げた独自の技術力を生かし、粘着製品や特殊紙の分野におけるリーディングカ ンパニーとして確固たる地位を築いています。今後も顧客第一の精神と斬新な発想で、さまざまなニーズ にお応えする高付加価値製品を開発・提供していきます。
リンテックの事業の強み ――粘着製品の一貫生産とトータルソリューション
リ ンテッ クでは粘着剤の開発・塗工だけでなく、剥離紙用原紙の生産から剥離剤の開発・ 塗工、表面基 材の改質加工まで、さまざまな技術を自社で確立し、粘着製品の一貫生産体制を実現しています。粘着製 品用の剥離紙・剥離フィルムを自社内で生産・調達でき、品質・コスト・納期面での優位性を確保できること はもちろん、各プロセス技術を組み合わせることで、さまざまな分野で活躍する粘着製品を生み出していま す。さらには、粘着製品以外に使われる工業用の剥離紙・剥離フィルムや特殊紙など、“川上”の技術に特 化した独自製品も数多く市場に送り出しています。
一方、ラベルをパッケージに自動貼りするラベリングマシンや半導体の製造工程で使用される装置など、 粘着素材の特性を最大限に引き出す関連機器の開発・生産も行っており、このソフト(素材)とハード(装置) によるトータルソリューションが、当社のもう一つの強みとなっています。
一つの業界の市況に左右されにくい安定的な事業構造
リンテックの多彩な製品の中でも、半導体関連、電子部品関連、液晶関連などの製品は、市場の急速な 拡大を背景に近年の当社の業績を牽引してきました。一方、食品や日用品、医薬品、文具、家電製品に使 われる主力のラベル用粘着素材などは、売り上げ・利益の振れ幅が比較的小さく、業績を下支えする基盤 事業といえます。
成長事業から基盤事業まで、さまざ まな製品を生産し、特定の産業界に依存することなく 、販売先が幅 広い業界に及んでいることが、当社の事業構造の特徴であり、一つの業界の市況に左右されることなく安 定的な収益を確保できるという当社の強みとなっています。
持続的成長を実現するビジネスモデル
COVER STORY
創業から現在に至るまで、リンテックグループは数多くの資産を築き上げてきました。これらの資産は私 たちが事業活動を進めていくうえで欠かすことのできない資本であり、社会の幅広いニーズに応える“もの づくり”の原動力です。ここから生み出された利益をステークホルダーに還元するとともに、将来への投資 を行うことで、これからも新たな価値を創造し続けていきます。
トップメッセージ
経営戦略
2017年4月より、2019年度(2020年3月期)を最終年度とする新たな3か年の中期経営計画「LIP (LINTEC INNOVATION PLAN)-2019」がスタートしました。イノベーションとチャレンジの精神を 持ち、全社一丸となって達成を目指してまいります。
■前中期経営計画「LIP-2016」の総括
数値目標は未達となりましたが、将来の成長に向けた土台ができました。
この3年間の成果としては、国内では2015年5月に研究所の先端技術棟が完成したことが挙げられます。 工場の量産設備により近い大型テスト塗工設備や、最先端の分析・解析装置を導入し、製品開発の大幅 なスピードアップが図られました。海外では、東南アジアおよびインドにおいて生産・販売・デリバリー体制 の拡充に努め、また、同地域における包括的な事業戦略を立案・実行する統括会社として2015年1月、シ ンガポー ルにリ ンテッ ク ・アジアパシフィッ ク社を設立しました。さらに、2016年10月から12月にかけて、米 国のマックタック・アメリカ社とVDI社、英国のリンテック・グラフィック・フィルムズ社の計3社の企業買収を行 うなど、欧米地域における事業基盤強化も積極的に進めました。
一方で、米国のマディコ社および中国の琳得科(天津)実業有限公司の再建が進まず、リンテック・インド ネシア社がストライキにより一時操業を停止するなど、一部の海外子会社で業績が低迷しました。また、中 国をはじめとするアジア新興国の景気減速の影響などもあり、「LIP-2016」の最終年度となった2017年3月 期の業績は、目標であった連結売上高2,400億円、営業利益200億円を大きく下回る結果となりました。
■「LIP-2019」の概要
前中期経営計画の成果と反省を踏まえ、新たな目標の達成を目指します。
今回策定した「LIP-2019」には、「LIP-2016」の成果と反省を踏まえ、次なる成長を遂げていこうという強 い思いを込めました。基本方針を「イノベーションをさらに深化させ、新たな成長にチャレンジ」とし、最終年 度における数値目標は連結売上高2,700億円、営業利益250億円、売上高営業利益率およびROEを9%以 上としています。重点テーマとしては次の四つを掲げました。
期間: 2017 年 4 月 1 日~ 2020 年 3 月 31 日
売上高 2,700 億円
「LIP-2019」重点テーマ
1. 地域戦略の強化
(1)国内におけるシェア拡大と新市場・新需要の開拓 (2)アジア地域における戦略的投資と事業拡大
(3)欧米における既存領域の拡大と、買収子会社との相乗効果の追求
LIP (LINTEC INNOVATION PLAN) -2019
基本方針:イノベーションをさらに深化させ、新たな成長にチャレンジ
定量目標:
営業利益 250 億円
売上高営業利益率 9% 以上
ROE(自己資本利益率) 9% 以上
2. 新たな価値の創造
(1)顧客ニーズを超える差別化製品の創出 (2)市場の変化を先取りした次世代製品の開発
3. 企業体質の強靭化
(1)グループ会社の健全化と持続的な収益拡大 (2)組織横断的な業務改革の推進
(3)コスト構造改革のさらなる推進
4. 持続可能な社会の実現に向けた取り組み
(1)社会的課題の解決に寄与する事業活動の推進 (2)働き方改革と多様な人材の育成・活躍促進
最終年度2019年度(2020年3月期)の主要数値目標(連結ベース)
重点テーマ
(1)地域戦略の強化
印刷材・産業工材関連を中心として、グローバル市場における地域戦略の強化を図っていきます 。まず 国内市場は、一部成熟化が進みつつありますが、新製品や新たな用途を提案することで、シェア拡大や新 需要の創出につなげるとともに、既存製品についてはコストやサービスの面で他社との差別化を図ってい きます。
またアジア地域においては、リンテック・アジアパシフィック社の機能強化を図るとともに、各生産・販売会 社の連携を強め、原材料の現地調達化や地域のニーズに見合った新製品の立ち上げ、戦略的なM&Aな ど、事業拡大に向けた諸施策を積極的に推進していく考えです。特にタイ、インドネシア、インド市場のさら なる開拓に努めていきます。一方、欧米では、買収3社の販路や技術力といった強みを最大限に生かしな がら、当社グループとの相乗効果を迅速に発現していきます。既にマックタック・アメリカ社の製品をアジア の顧客にも提案しており、今後の展開に期待しています。
(2)新たな価値の創造
顧客の抱えるさまざまな課題やニーズをしっかりと認識・分析し、製品とサービスの両面から当社独自の 付加価値を提供していきたいと考えています。そのためには、各営業担当者が日頃から顧客ニーズをきめ 細かくキャッチし、その情報を社内で共有して、各事業部門と研究開発本部が一体となって検討を進めて いくことが重要です。また、先端技術棟に導入した試験研究設備をフルに活用することで、材料開発からプ ロセス提案までを円滑に進め、これまで以上にスピー ディーに顧客の期待に応えていきます 。同時に、エ レクトロニクス・光学・自動車・環境・エネルギーといった分野を中心に、今後の成長を担う新規材料の開発 にも注力していきます。
(3)企業体質の強靭化
今年3月に、ラベル印刷機の製造・販売拠点であった琳得科(天津)実業有限公司の解散を発表しました が、業績が低迷しているそのほかの海外グループ会社においても、早急に立て直しを進めています。この 6月には、マディコ社の抜本的な経営合理化策として、太陽電池用バックシート事業からの完全撤退、生産
2017年8月
代表取締役社長 社長執行役員 西尾弘之
(4)持続可能な社会の実現に向けた取り組み
当社は企業市民の一員として、CSR(企業の社会的責任)活動には以前から積極的に取り組ん できまし た。今後さらに、環境問題や人口問題などといった、いわゆるSDGs(持続可能な開発目標)を念頭に置いた 事業活動を推進し、会社の成長と社会の発展につなげていきたいと考えています。また、会社の持続的な 成長には、多様な人材が生き生きと働ける職場環境が不可欠です。当社グループでは、働き方改革を積 極的に進め、女性従業員の活躍促進や障がい者の採用拡大、海外グループ会社のスタッフ育成などの諸 施策に取り組み、より働きやすい会社を目指していきます。
■株主・投資家の皆様へのメッセージ
前中期経営計画が未達に終わったことを受け、「LIP-2019」ではPDCAサイクル
※
をしっかりと回し、計画 と実績が乖離した場合には徹底的な原因究明と是正を迅速に行うことで、目標の達成を目指してまいりま す。また、同計画の基本方針にあるとおり、従業員一人ひとりがあらゆる固定観念や慣習的な業務プロセ スを根底から見直し、長年積み重ねてきたイノベーションをさらに深化させることで、新たな成長につなげ てまいります。
そして何より も、従業員満足度を高めることが、顧客満足度を高め、ひいては業績の向上につながり ま す。全ての従業員が今よりももっとやりがいや幸せを感じられるような会社をつくり、持続的な成長を目指 してまいります。
株主・投資家の皆様には、引き続きご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。
※PDCAサイクル:Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)という4段階の活動を繰り返し行うことで、 継続的にプロセスを改善していくという考え方
CFOメッセージ
経営戦略
株主・投資家の皆様との積極的な対話を通じて、企業価値の向上に努めてまいります。
■2017年3月期連結業績の総括および2018年3月期連結業績の見通し
2017年3月期を振り返りますと、円高や中国をはじめとするアジア新興国の景気減速など、当社を取り巻 く経営環境は厳しい状況が続きました。さらには、一部海外子会社の業績不振や、欧米3社の買収による 一時的な費用の発生などが利益を圧迫し、当期の連結売上高は前年同期比2.2%減の2,060億円、営業利 益は同6.2%減の166億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却 益や当期における税効果のプラス影響などにより、同5.1%増の115億円となりました。
また、欧米3社の買収に伴い、約335億円の「のれん」が発生しました。これを10年かけて償却していく予 定であり 、その間は利益に与える影響は大きなものとなり ます が 、お互いが持つ販路や技術面での相乗 効果を早期に発現していきたいと考えています。
2018年3月期におきましては、3社の買収による一時的な費用や現在清算手続き中の中国子会社の赤 字額がなくなるほか、労務問題により業績不振が続いていたリンテック・インドネシア社の問題が解決した ことで赤字縮小が見込まれるなど 、前期に大きくマイナスに働いたさまざ まな要因が解消される見通しで す。加えて、買収3社の業績が通期で連結業績に寄与し、さらに半導体・電子部品関連事業が好調に推移 すると見込まれることなどから、連結売上高は前年同期比21.4%増の2,500億円、営業利益は同20.5%増の 200億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同17.9%増の135億円と予想しています。
■為替の影響
円高はパルプや各種石化原材料などの調達面ではプラス要因となりますが、海外子会社の業績の円貨 換算額の目減り影響や、リンテック単体と海外子会社との取引のマイナス影響があり 、トータルでは不利 に働きます 。2017年3月期は売上高で約68億円、営業利益で約23億円の円高によるマイナス影響があり ま し た 。 当 社 グ ル ー プ の2017年3月 期 の 海 外 売 上 高比 率 は37.8% と な り ま し た が 、 買 収3社 が 連 結 に 加 わったことにより、今後、為替の影響はさらに大きくなります。
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■成長投資と株主還元について
キャッシュの使途については、今後も成長分野への設備投資や、M&Aなどを積極的に進めていきたいと 思っており、事業拡大のために必要なら借り入れによる資金調達も行っていきます。ROEの向上について はさまざ まな考え方があると思いますが、基本的には利益を着実に増やしていくことで高めていく考えで す。
また、経営上の最重要課題の一つである株主還元については 、配当を基本に考えていますが 、健全な 財務基盤を維持す るための内部留保とのバランスを取り ながら、安定的かつ継続的に行っていく方針で す 。2017年3月 期 の 年 間 配当 金 に つ い て は 、 前 年 同 期 比12円 増 配 と な る66円 と さ せ て い た だ き ま し た 。 2018年3月期は、1株当たり当期純利益187円11銭の予想を基に、年間配当金66円を予定しています。
■株主・投資家との対話について
株主・投資家の皆様と建設的な対話をするためには、何よりもまず、会社をよく理解していただくことだと 考えています。当社の場合、事業が非常に多岐にわたるので分かりにくい部分もあり、見る人によって見 え方も変わってきます。会社の特徴や強み・弱みも含めて、皆様に実態を正しく理解していただくことが重 要です。そのためにも、私たちは適時適切に会社情報をお伝えしていかなければなりません。リンテックの 持続的成長と中・長期的な企業価値の向上、そして適正株価の形成につながるよう、今後もさまざまな形 で株主・投資家の皆様と積極的に対話を続けていきたいと考えています。
取締役
副社長執行役員 浅井仁
リンテックのグローバルネットワーク
特集
近年、積極的に事業のグローバル化を図り 、現在、世界19の国と地域に拠点を展開するリ ンテック 。中
期経営計画「LIP-2019」の重点テー マの一つとして「地域戦略の強化」を掲げ、国内そして世界各地での 事業強化を目指しています。ここでは、当社の海外事業拡大の歴史と、2016年に子会社化した欧米3社に ついてご紹介します。
リンテックの海外事業の歴史
当社では、早くから欧米の先進的な粘着ラベル技術の情報収集に努め、国内ラベル市場の確立に尽力 してきました。ラベル用粘着製品の拡販に向けて、1973年に開発したラベル印刷機「A-100型」は、欧米・ア ジア市場でも大変注目を集めました。
1985年に初めての海外事業所となる北京事務所を開設。中国ラベル市場の開拓を進めるとともに、1987 年には自動車や建物の窓ガラスなどに貼るウインドーフィルムの事業を手がける米国・マデ ィコ社を買収 し、同事業においても海外展開に着手しました。
1994年には半導体関連製品の拡販拠点としてシンガポール営業所を開設し、翌年にラベル用粘着製品 などにも業容を広げた同営業所をリンテック・シンガポール社として現地法人化。同社を中核戦略拠点とし て、東南アジア地域における販売ネットワークを拡大してきました。
また生産拠点としては、1994年に当社グループにとってアジアでは初めての粘着製品の工場となるリン テック・インドネシア社を設立。その後も、お客様により近い所で製品を生産し、安定的に供給していこうと いう「メード・イン・マーケット」の基本方針の下、マレーシア、中国、韓国、台湾に生産拠点を構築し、着実 に製品供給体制の強化を図ってきました。
さらにタイに生産拠点を設立した2011年以降、東南アジアやインドに相次いで販売拠点も新設し、2015年 1月にはこの地域の統括会社としてリンテック・アジアパシフィック社をシンガポールに設立しました。
そして2016年、米国および英国において3社を買収し、欧米市場への本格展開の足掛かりを築きました。
海外売上高/海外売上高比率
2017年3月期の当社グループの海外売上高は778億円となり 、10年前の2007年3月期と比べ約360億円 増加しました。また、海外売上高比率も21.8%から37.8%に伸長。2018年3月期からは、前期に子会社化した 欧米3社の業績が通期で連結に含まれ、海外売上高比率は50%近くになる見込みです。
Focus
2016年に子会社化した米国と英国の3社の概要と代表者のコメントをご紹介します。
マックタック・アメリカ社
世界の粘着ラベル素材市場の約3 割を占め、かつ年率2〜3%の 安 定成 長 を続け る 北米 市場 におい て 確固た る地 位を 築 い てい る 粘着素材メーカ ー です 。米国とメキシコに計三つの生産拠点を有 するほか、1,000社以上もの顧客と良好な関係を保ち、長年にわた る納入実績と高いブランド力を誇っています。またラベル用粘着製 品以外にも 、壁面などに使用される装飾用のグラフィッ クシートや 各種工業用・医療用テープなど も手がけ、全体の売上高は約350 億円に上ります。
粘着フィルムに強みを持つ当社に対して、同社は粘着紙を主力 としており 、これまで当社グループにはなかった、熱で溶かして塗 工するホットメルト粘着剤の優れた処方技術や高速塗工設備を有 しています。加えて、北米市場での充実した販売ネットワークを持 つことから、今後は同市場においてリンテック製品を積極展開する とともに、両社の技術を融合させた製品開発を通じて、北米のみな らず、そのほかの地域においても事業の拡大を図っていきます。
マックタック・アメリカ社 所在地:米国・オハイオ州 創業:1959年
従業員数:496人
(2016年12月末現在) 売上高:342億円
営業利益:36億円
(2016年12月期) 取得価額:約270百万ドル
※引受債務を含まず
社長 エドワード・ラフォージ
当社の強みは従業員、技術、そして企業文化であり、イノベーティブな精神によって、ホットメルト粘着剤 の処方をはじめ、これまで数多くの技術を培ってきました。北米市場で高い評価を受けてきた当社がリ ン テックグループに加わることで、市場における地位はさらに向上し、リンテック製品を含めた“ 私たちの製 品” が世の中により一層広まることを確信しています。リンテックと当社の企業文化、技術、戦略などを融 合し、早期に相乗効果を発揮してグループに貢献していきたいと思います。
VDI社
米国・ケンタッキー州に拠点を構える機能性フィルムメーカーで、 金属 の薄膜層 をフ ィ ルムの表面に形 成す る メタライ ジン グ技術 を 生 か し て 、 金 属 蒸 着 フ ィ ル ム や ス パ ッ タ リ ン グ*フ ィ ル ム な ど を 製 造・販売しています。同社は、ウインドーフィルムのメーカーである 当社の米国子会社・マディコ社の仕入れ先でもあったことから、材 料調達面でのコストダウン効果も期待できます 。また、これまで当 社グループが持っていなかったメタライジング技術を活用した製品 開発 を推進す る ことによ って 、 新たな分野 で の事業展開を目指し ていきます。
VDI社
所在地:米国・ケンタッキー州 創業:1971年
従業員数:36人
(2016年12月末現在) 売上高:10.7億円
営業利益:0.2億円
(2016年12月期) 取得価額:26百万ドル
※引受債務を含まず
*ス パ ッ タ リ ン グ : 真 空 中 で 金 属 や 酸 化 物 な ど に 高 エ ネ ル ギ ー を か け て
粒子化し、フィルムなどの表面に付着させること
社長 デイビッド・ブライアント
当社では「品質・革新・サービス」を成功の鍵として掲げています。高品質な製品は顧客満足に、技術革 新は世界中の市場への参入に 、優れたサービスは未来のビジネスにつながると考えているからです 。当 社とリンテックは、メーカーとして多くの共通点を持っていると思います。ウインドーフィルム市場でビジネス を展開していますし、常に新たな可能性を求めて新技術を模索する点も同じです。今後は“リンテック・ファ ミリー”の一員として、さまざまなことを吸収し、より良いパフォーマンスで貢献したいと考えています。
リンテック・グラフィック・フィルムズ社
2010 年に当社と商標のライセンス契約を締結し、「リンテック」の 名称を社名に冠して、当社のラベル用粘着製品やグラフィックシー ト、ウインドーフィルムなどを中心に扱う英国の各種粘着製品の販 売会社です。2017年9月下旬にベルギーで開催される世界最大の ラベル関連展示会「LABELEXPO EUROPE 2017」への当社グルー プの出展を前に、社名を「リンテック・ヨーロッパ(UK)社」に改めま す 。 今後 、同 社の持つ マー ケテ ィ ング力や 幅広い販 売網 を さらに 有効活用することで、欧州市場における新規顧客開拓を加速させ ていきます。
リンテック・グラフィック・フィルムズ社 所在地:英国・バッキンガム
シャー州 創業:1993年 従業員数:18人
(2016年10月末現在) 売上高:8.5億円
営業利益:1.3億円
(2016年10月期) 取得価額:7,300千ポンド
社長 アンドリュー・ジェームズ・ヴォス
リンテックの企業文化は倫理的、創造的、積極的であり、ビジネスパートナーだった当社の基礎を成す文 化も、それと非常に近いものがあります。社名変更によってリンテック・ヨーロッパ社との連携を一層強固な ものとし、欧州市場での拡販を目指していきます。これは私たち全員にとって、とてもやりがいのある仕事 です。今後もお客様により良い製品・サービスを提供することで、リンテックグループが欧州でイノベーショ ンリーダーとして認められるよう努めていきます。
三位一体となった事業活動
企業価値の創造に向けて
メーカーであるリンテックでは、日々お客様と向き合う営業部門、新たな技術・製品を創出する研究開発 部門、高品質な製品を安定的に供給する生産部門が中心となって事業活動を展開しています。顧客ニー ズを的確に把握するために研究員が営業に同行してお客様を訪問したり、課題の解決に向けて営業や研 究員が生産現場に赴いたりと、開発から販売までの各プロセスにおいて営業、研究、生産が三位一体とな って取り組むことで、当社独自の価値を創造し、お客様に喜ばれる製品をご提供しています。
営業
6つの事業部門が多彩な製品を展開しています。素材と装置の組み合わせによるトータルソリューショ ンの提案などにより、お客様の課題解決に貢献しています。
研究開発
長 年培 っ てきた 独自技 術を 高次 元 で融合 させ 、 画期的 な 製品開発に 努め ていま す 。お 客様と 直接 コ ミュニケーションを図るマーケット対話型の研究開発が強みの一つです。
生産
最新鋭の生産設備と独自の生産技術、そしてサプライチェーンマネジメントの徹底により、安全かつ高 品質な製品をお客様にご提供しています。
人材
この三位一体の事業活動の基盤となっている のが人材です 。当社ではこの人材を財産と 考え 、誰も が働き やすい環境づくりや人材育成に努めています。
営業
企業価値の創造に向けて
当社の営業部門である事業統括本部では、約300人のスタッフが在籍する東京の飯田橋オフィスを中心 に、大阪、名古屋など全国11か所の営業拠点で日本全国の顧客をカバーしています。また、リ ンテックグ ループでは、アジア、欧米に50を超える生産・販売拠点を有し、世界中にリンテック製品をお届けしていま す。
当社グループの事業は六つの事業部門に分けられ、それぞれが独自の戦略に基づく営業活動を展開し ています 。この六つの事業部門は、製品や技術、市場の類似性など によって、「印刷材・産業工材関連」
「電子・光学関連」「洋紙・加工材関連」の三つの事業セグメントに分類されています。
取締役常務執行役員 事業統括本部長 服部 真
本部長メッセージ
今年4月に本部長に就任し、中期経営計画「LIP-2019」の目標達成に向けて重責を感じています 。最終 年度の数値目標は、各事業部門の計画をボトムアップしたものであり、計画どおりにいけば必ず達成でき る数字です。前中期経営計画の目標未達の反省を踏まえ、当初の計画と実績が乖離した際にはしっかり と原因を分析し、早急に改善できる体制を整えていきたいと考えています。
「LIP-2019」の重点テーマの一つとして“地域戦略の強化”を掲げていますが、国内・海外という分け方 ではなく、あくまで日本、アジア、欧州、北米など、それぞれの市場に分けて考えていく必要があります。日 本は成熟市場といわれますが、当社の事業の多くは国内に比重を置いていること、また、日本発の素材、 技術、サー ビスが多くあることから 、重要な市場であることに変わりはなく、今後も注力していかなければ ならない市場です。またアジアでは、近年整備を進めてきた東南アジアおよびインドの子会社がまだ十分 に機能しているとは言えず、市場環境の変化に合わせたネットワークの再構築を図っていきます。欧米で は、昨年子会社化した3社と共に印刷材・産業工材分野での拡販を目指していきます。どの地域において も市場あり き、つまり市場の真の要求を理解することが最も重要であり 、顧客とのコミュニケーションの強 化を徹底していきます。
印刷材・産業工材関連
印刷・情報材事業部門
当事業部門では、当社グループの主力製品であるラベル用粘着紙・粘着フィルムなどを製造・販売して おり 、特に粘着フィルムの分野では国内市場で約6割のトップシェアを有しています 。また、海外において は中国、東南アジアなどで生産・販売拠点網の充実を図る一方、昨年、米国のマックタック・アメリカ社など を子会社化し、事業規模を拡大しました。
主要製品
・ラベル用粘着紙・粘着フィルム
事業戦略 執行役員 事業統括本部 印刷・情報材事業部門長 吉武正昭
ラベル用粘着紙・粘着フィルムは、国内では市場が成熟しつつありますが、地域に密着した営業活動を 強化することで、さらなるシェア拡大を図っていきます。海外では、前期は中国における景気減速のほか、 リンテック・インドネシア社のストライキの影響を大きく受けました。今後はリンテック・アジアパシフィック社 が中心となって東南アジア地域での販売戦略を見直すとともに、現地の原材料を使った新製品の立ち上 げ な ど も 目 指 し て い き ま す 。 ま た 欧 州 で は 、 今 秋 ベ ル ギ ー で 開 催 さ れ る 世 界 最 大 の ラ ベ ル 関 連 展 示 会
「LABELEXPO EUROPE 2017」への出展や、英国のリンテック・グラフィック・フィルムズ社のマーケティング 力の活用によって、さらなる拡販に努めていきます。米国では、マックタック・アメリカ社の販路を使ったリン テック製品の販売や、マックタック製品の東南アジア地域での展開を模索していきます。
産業工材事業部門
当事業部門では、建物や自動車の窓ガラスに貼るだけで、熱や紫外線の遮断などさまざ まな効果を発 揮するウインドーフィルムをはじめ、車体の装飾や保護に使用される自動車用粘着製品、モバイル機器な どの部材固定に使用される工業用粘着テープ、物流や生産ラインで活躍するバー コードプリンタや、ラベ ルを自動貼りするラベリングマシン、さらには屋外看板・広告用フィルムや内装用化粧シートなど、非常に 幅広い製品を扱っています。
主要製品
・ウインドーフィルム
・自動車用粘着製品
・工業用粘着テープ
・バーコードプリンタ
・ラベリングマシン
・屋外看板・広告用フィルム
・内装用化粧シート
合った製品開発が急務といえます 。また、経営不振が続く米国のマディコ社については、先般、抜本的な 経営合理化を発表しましたが、タイや中国・蘇州の生産拠点とも連携し、ウインドーフィルムおよびその他 製品の最適な生産・販売体制を構築していきます。
国内においては、物流関連や自動車関連などに注力す るほか 、サイン・グラフィッ ク関連などの需要増 加が見込まれており、販促活動を強化していきます。
電子・光学関連
アドバンストマテリアルズ事業部門
当事業部門では、半導体チップの製造・実装工程に欠かせない特殊粘着テープとその特性を最大限に 引き出すための装置、また、極小の電子部品である積層セラミックコンデンサの製造に不可欠な剥離フィ ルムを製造・販売しており、エレクトロニクス業界において独自の地位を築いています。さらに、次世代を担 う新規シート材料などの開発にも注力しています。
主要製品
・半導体関連粘着テープ・装置 ・積層セラミックコンデンサ関連テープ
事業戦略 執行役員 事業統括本部 アドバンストマテリアルズ事業部門長 海谷健司
現在 、エ レクト ロニク ス業界は活況 を呈 してい ます が、 今好調 な製品が 将来も売れ るとは限り ません 。 当事業部門では常にニーズを先取りし、より顧客ニーズに合った製品をタイムリーに提供できるよう努めて います。最終製品の薄型化や高機能化、大容量化などによって、当社製品に対する要求品質も年々高ま ってきています。サプライヤーとも連携を強化しながら、高品質の製品を市場に安定供給していきたいと思 います。
あらゆるものがインターネットでつながるIoTの拡大や次世代高速通信の導入などにより、半導体・電子 部品の需要は大きく伸長していくと見ています。さらに、既存の半導体関連粘着テープや装置、積層セラミ ックコンデンサ関連テープの3本柱に加え、例えば、車載用パネルの光学粘着シートといった次世代製品 を第4の柱に育て上げていくことで、目標達成を目指していきます。
オプティカル材事業部門
当事業部門では、特殊粘着剤や表面塗工剤の開発技術と精密コーティング技術、そして最新鋭の生産設 備を駆使して、液晶ディスプレイを構成する偏光フィルム、位相差フィルムなどの光学機能性フィルムの粘 着加工や、傷をつきにくくし、映り込みも低減する防眩ハードコートなどの表面改質加工を行っています。
主要製品
・偏光・位相差フィルム/粘着加工 ・偏光フィルム/表面加工
事業戦略 事業統括本部 オプティカル材事業部門長 伊藤晋二
現在の光学ディスプレイ市場は、有機ELディスプレイの普及や中国の液晶パネルメーカーの台頭など、大 きな変化の時期にあるといえます。この難しい局面の中で生き残るためには、顧客の声を聴いて、考え、行 動することが何より大切だと考えています。
市場では、液晶ディスプレイから有機ELへの移行が徐々に進みつつありますが、市場規模はまだ小さく、 現時点では当社の事業に大きな影響はあり ません 。しかし、将来的にどのような品質が求められるのか 、 数量やコストがどう変わってくるのかなど、市場の動向を十分注視していかなければなりません。今後も当 社グループの顧客である光学機能性フィルムメーカーとの連携を強化しながら、昨年稼働を開始した最新 鋭設備の活用による高品質製品の供給と、市場の変化に対応したグローバルでの最適な生産体制の構築 に努めていきます。
洋紙・加工材関連
洋紙事業部門
国内トップシェアを誇るカラー封筒用紙や色画用紙をはじめ、食品の包装に使われる耐油紙、クリーンル ームなどで使用される無塵紙、独特な風合いを持った高級印刷用紙、名刺やはがきに使用される高級紙製 品用紙などの特殊紙を製造・販売しています。現在はまだ国内中心のビジネスですが、今後は海外への販 売を視野に入れた営業活動にも注力していきます。
主要製品
・カラー封筒用紙
・色画用紙
・特殊機能紙
・高級印刷用紙
・高級紙製品用紙
事業戦略 執行役員 事業統括本部 洋紙事業部門長 菅谷俊巳
近年のペーパーレス化によって当事業部門の市場は縮小傾向にあります。そのような中でも収益を確保 していくため、中期経営計画「LIP-2019」においては新製品の投入などによって既存の国内事業の維持 ・ 拡大を図りつつ、海外を含めた新規市場の開拓にも積極的に取り組んでいきます。
主力の封筒用紙についても、厳しい市場環境ではありますが、中身が透けないよう隠蔽性を付与したタ イプの製品は順調に伸長しています。さらに撥水性を付与した新製品も市場で高い評価を得ており、今後 もこのような高付加価値品の開発・提案を進めていきたいと思います。また、当社が得意とする特殊機能 紙については、まだあまり普及していない海外市場での拡販に努めていきます。
加工材事業部門
当事業部門では、紙やフィルムに剥離適性、耐水性、耐熱性、耐摩耗性といった機能を付与することで、 各種粘着製品の粘着剤面を保護する剥離紙・剥離フィルムを製造・販売しています。そのほか、合成皮革 に柄をつけるための型紙となる工程紙や、炭素繊維をシート状の複合材料に加工するために使用される 工程紙なども提供しています。
主要製品
・一般用剥離紙 ・合成皮革用工程紙
・光学関連製品用剥離フィルム ・炭素繊維複合材料用工程紙
事業戦略 執行役員 事業統括本部 加工材事業部門長 岩崎 豊
グローバル化による価格競争の激化や、中国における合成皮革用工程紙メーカーの台頭、原油安によ る炭素繊維複合材料を用いた旅客機の一時的な需要減少など、当事業部門を取り巻く環境は非常に厳し い状況にあります。
このような中、当事業部門では競合他社の安価品に対して価格競争するのではなく、品質や顧客に対す るサー ビスの差別化で利益を追求していく方針です。そのためには、新製品の投入から品質改善、技術 面での対応に至るまで、全てにおいて他社に負けないスピードが重要になります。
また今後、今まで当社にない型付け加工を施した合成皮革用工程紙の開発や、炭素繊維複合材料用工 程紙の耐久性アップ、環境対応の面では剥離紙の無溶剤化などを重点課題として、製品の開発・改良に 努めていきます。
研究開発
“技術立社”を標榜するリンテックにとって、研究開発力の強化は持続的成長を実現するための最も重要 な経営戦略の一つです。当社では、独自の技術力を生かした機能性材料の開発とその加工技術開発、そ してユーザーニーズを重視したマーケット対話型の研究スタイルによって、お客様の課題を解決する製品、 そしてこれまでにない独創的な市場牽引型製品を生み出しています 。今後も製品開発のスピードアップ や 新規技術の確立を目指し、さらなる体制強化を進めていきます。
企業価値の創造に向けて
粘着応用技術:粘着剤、各種基材の開発およびその複合技術により 、「貼る」「剝がす 」という粘着製品の 基本機能の応用領域を拡大します。
表 面 改 質 技 術 :紙 や フ ィ ル ム の 表 面 に 化 学 的 ・ 物 理 的 処 理 を 施 す こ と で 、 そ の 性 能 を 高 め た り 、 新 た な 機能を付加したりします。
システム化技術:機械・装置のシステム化をはじめ、素材の特性を生かした高度なシステム構築で、先進 のソリューションをご提案します。
特殊紙・剥離材製造技術:独自の抄紙技術や塗工、含浸、貼合技術などを駆使し、従来の紙の概念を超え る特殊機能紙や高付加価値材を開発します。
研究開発体制
研究開発本部・研究所では、最新鋭の研究設備に加え、クリーンルームやユーザーの生産環境と同等の 半導体関連装置までも完備しています。2015年には、工場の量産設備に近い大型テスト塗工設備を導入し た先端技術棟が完成し、研究開発から量産化までをスムーズに行える体制を整えました。現在、8つの研究 室などに約200人の研究員が在籍し、日々研究開発に励んでいます。また、米国・テキサス州のナノサイエ ンス&テクノロジーセンターでは、従来の技術領域とは異なる新しい分野の研究開発に取り組んでいます。
当期の研究成果事例
る医療・医薬関連の表示・管理ラベルとして、マイナス196℃までの低温環境下 での保存適性に優れた低温対応ラベル素材を開発しました。また、物流関連や 医療・医薬関連の表示・工程管理向けに、小ロットから出力・発行可能な可変情 報印字用ラベル素材の新アイテムとして、熱や湿度、アルコー ルなどへの耐性 を併せ持った、ダイレクトサーマル方式プリンタ対応の汎用タイプ新製品を開発 しました。
低温環境対応ラベル
産業工業材料分野
さまざまな産業用・工業用の機能性粘着素材の開発を継続しています。光学ディスプレイ用途に開発を進 めてきた光拡散フィルムの技術を応用し、ガラスが持つ透明感や採光性を損なうことなく 、隠したい部分の 視界を制御することが可能な独自設計の視界制御フィルムを開発しました。見る角度によって透明に見えた り 擦 り ガ ラ ス 状 に 見 え た り す る た め 、 窓 か ら の 景 観 を 保 ち つ つ 、 プ ラ イ バ シ ー の 保 護 が 可 能 で す 。 また、ガラス飛散防止性と紫外線カット性も兼ね備えており、オフィスや店舗、一般住宅の窓ガラス、扉、パ ーティションなどに適用可能です。
そのほかの研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は27億円となりました。
フィルム施工例(左の写真は上から、右の写真は下から見た場合)
電子・光学関連 半導体関連材料分野
スマートフォンなどの電子機器の薄型化と高機能化に伴い、回路面の突起電極(バンプ)によるフリップチッ プ接合の半導体パッケージが普及しています。その製造プロセスで使用できるよう、さまざまな高さのバンプ に対応するバックグラインド用ウェハ表面保護テープをラインアップさせました。一方、フリップチップ用のチ ップ裏面保護テープは、製造プロセスに対応した新製品を発売しました。薄型ウェハが使用されるインテリジ ェントセンサーや3次元 NANDフラッシュメモリの製造に不可欠な各種高機能テープを市場に投入し、IoT社 会拡大の一翼を担っています。
当社の光拡散フィルムを使用した反射型液晶
光学機能材料分野
各種光学ディスプレイ用の粘着剤開発を継続しています。車載ディスプレ イ用としてプラスチックに対す る耐ブリスター性と耐湿熱白化性を付与した 粘着剤、タッチセンサーに使用されるITOなどの腐食を抑制し、紫外線とブ ルーライトの遮蔽性を兼ね備えた粘着剤、さらに大型テレビ用の機能性粘 着剤を開発しました。また、光の拡散領域を制御す る特殊光拡散フィルム は、顧客要求にマッチした特性へのカ スタマイズにより優位性を発現し、さ ま ざ ま な 反 射 型 デ ィ ス プ レ イ で の 採 用 が 間 近 と な っ て い ま す 。 また、プロジェクションスクリーン用として、空港などで採用されました。本ス クリ ー ンは既存構造物の側面に貼付施工が可能で、今後広く普及が見込 まれています。
そのほかの研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は37億円と なりました。
洋紙・加工材関連
2015年に発売した、高い撥水性とオフセッ ト印刷適性、レー ザー プ リ ンタ 適性を兼ね備えたホワイトクラフト紙の新製品として、99%以上の隠ぺい性 を付与したタイプ を開発・発売しました。内容物が透けにくく重要な情報が 保護できるため各種封筒に最適です。
そのほかの研究開発活動を含め、当セグメントの研究開発費は13億円と
なりました。 高い撥水性と不透明度を実現した
ホワイトクラフト紙
コラム:リンテックの半導体関連粘着テープ
当社が半導体関連事業に参入したのは1986年。紫外線の照射によって、 粘着力を自在にコントロールする「UV硬化型ダイシングテープ」の開発がき っかけでした。薄い半導体ウェハをチップ状に切断する際に、個片化された チップが飛び 散らないよう強い粘着力で固定し、切断後にチップ をピックア
さらに、ほぼ100%の世界シェアを誇るテープが「フリップチップ裏面保護 テー プ 」 です 。 フリ ッ プ チッ プ とは 、ウェハの回路面に突起電極 を形成し 、 これを反転して直接基板に実装す るチップ 。薄型化が進んだフリ ップチッ プの裏面をテープで補強することを考え、当社が他社に先んじて開発しま した。
今後も革新的な新製品を開発し、高品質な製品を提供し続ける ことで、 半導体業界における独自の存在感を高めていきたいと考えています。
知的財産活動
当社グルー プ では 、顧 客ニー ズに応 え る独創的 な製品の開 発を通 じ て企業価値の向上に 努めてお り 、 これら開発活動によって得られた特許権・商標権・意匠権などの知的財産を重要な経営資源と位置づけて います。当社では、研究開発本部 知的財産部において、他社権利の尊重を第一に考えるとともに、「技術 立社リンテック」の生命線ともいえる知的財産権の拡充を目的に、研究開発現場における発明の発掘など、 全社的かつ戦略的な知的財産活動を推進しています。
また、基盤事業領域と成長事業領域における特許ポートフォリオの構築など、事業戦略との連動を図りつ つ、知的財産に基づく収益性の向上を目指しています。
フリップチップ裏面保護テープ
執行役員 研究開発本部長 月田達也
本部長メッセージ
前中期経営計画「LIP-2016」期間においては、研究所発信の独創的新製品を市場に出すための種をまい てきました。そのような中、2015年に完成した研究所・先端技術棟によって、これまで工場の実機で行ってき た試作を同棟の大型テスト塗工設備で行えるようになったことは、開発スピードの向上に極めて有効だと考 えています。研究所で試作ができれば実機を止めなくて済むため、生産のロスがなくなり 、より詳細なデー タを取ることもできます 。さらには、次世代製品の量産プロセスを模索す るための塗工設備もあり、同棟の 活用の成果は今後3年間で顕著に出てくると思います。
※1 フロントローディング設計:製品開発の初期段階で可能な限り開発上の課題やリスクを洗い出し、事前に対策を講じて 途中段階でのやり直しを極力抑えようという考え方
※2ワンストップ開発:新規材料開発と同時並行で、量産化のためのプロセス開発を進めていこうという考え方
新中期経営計画「LIP-2019」では、まず今年4月に企画部門を研究所傘下に移管する組織改革を行いま した。これは「フロントローディング設計※1」と「ワンストップ開発※2」という当本部の基本思想を、中・長期的 な開発プロセスにおいても本格的に取り込み、各研究室の成果をいち早く形にしていく狙いがあります。研 究員には手がけたテーマを必ず市場に送り出すように指導しており、少しでも多くの新製品を創出して、事 業への貢献を目指していきます。また、事業のグローバル化が進むにつれ、海外に研究員を駐在させる必 要性が高まっています 。これは海外顧客への技術的なサポートだけでなく 、そのニーズを正確に把握する のにも非常に有用なため、海外子会社への研究員の派遣も積極的に行っていきたいと考えています。
生産
当社グループではハイレベルなクリーン工棟や最新鋭の生産設備と独自の生産技術を駆使して、さまざ まな顧客ニーズに応える製品を製造しています。サプライヤーとの良好な関係を築きながら、品質・環境・ 事業継続の各マネジメントシステムの運用にも積極的に取り組み、お客様に「安心」と「信頼」をお届けして います。
企業価値の創造に向けて
生産体制
当社では国内に10か所の生産拠点を擁し、多種多様な製品を生産しています 。市場ニーズを勘案しな がら、最新鋭の生産設備導入による老朽化設備の統廃合や、レイアウト面も含めた工場の再構築を進め るなど 、より効率的な生産体制の実現を目指しています。また、工場ごとに現場改革活動を推進し、歩留 まりの向上やコスト削減などにも努めています。海外には10を超える生産拠点があり、それらと国内の生 産拠点が連携して、最適な生産ネットワークを構築しています。
災害ゼロに向けて
当社グループの生産現場では安全を最優先し、労働災害ゼロを目指して操業しています。日頃から、リ スクを評価して安全基準を設けるリスクアセスメントや危険予知訓練、各種安全パトロールによる5S※の徹 底など、さまざまな取り組みを実施しています。また、国内外の各事業所では安全衛生委員会を毎月開催 し、安全活動の進捗状況を確認・共有しています。2017年4月には、国内生産拠点の安全担当者を集めた 安全大会を開催し、各事業所の取り組みについて情報交換を行いました。今後も災害ゼロに向けて、さま ざまな活動に取り組んでいきます。
※5S:整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)
品質管理の徹底
当社グループでは、国内外の21拠点で品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001の認証を取 得しており、対象部署の拡大や関連事業所の統合認証取得など、さらなる品質保証体制の強化に取り組 んでいます。品質事故件数については、2004年3月期を100とした場合、直近5年間は20以下で推移してい ます。また、品質事故が発生した際の迅速な情報収集から、その原因分析および再発防止までを目的とし た管理システムを構築・運用し、速やかな対応が取れる体制を国内外で整備しています。
公正な取引
当社グループでは、全てのサプライヤーとの間で自由な競争原理に基づく公正・透明な取引を行うことを 基本方針とし、関連法規・社会規範を遵守した調達活動を行っています。また、主要サプライヤーについて は、「自己監査チェックシート」を通じて、「品質」「化学物質管理」「経営・サービス」「CSR」の4項目の評価を 行っており、定期的に購買プロセスの見直しを図りつつ、パートナーシップの維持・強化に努めています。
グリーン調達
当社グループでは、環境負荷低減を目指した調達活動を推進しており、原材料、部品、副資材の化学物 質管理を徹底しています。新たな材料を調達する場合や新たな規制が行われた際には、サプライヤーの理 解を得ながら規制物質の含有調査を行っています。2017年3月期は約5,000品種を対象に調査を実施しまし た。また、サプライヤーにも積極的な環境保全活動の推進や化学物質管理の徹底を求めています。
環境マネジメント
当社グループでは、リンテックの本社や工場、研究所をはじめ、国内グループ会社の東京リンテック加工 株式会社および 海外グルー プ11社を合わせた25拠点において、国際規格ISO14001のグロー バル統合認 証を取得しています 。2015年にISO14001が改訂されたのを受け、改訂版への移行作業を進めるとともに、 今後も海外グループ会社のグローバル統合認証の取得を推進し、全社的な環境保全への取り組みを強化 していきます。
環境負荷の低減
当社グループでは、持続可能な社会の実現を目指し、環境に負荷を掛けないものづくりに取り組んでいま す。2017年3月期のCO2排出量については、前期の排出量200千tを下回る195千tとなりました。廃棄物の発 生量は前期を上回ったものの、最終埋立比率は約0.03%となり、10期連続で最終埋立比率1.0%以下のゼ ロエミッションを達成しています。また、製紙工程の用水使用量も原単位で前期比6.8%改善しました。その ほか、大気中に排出する有機溶剤などのVOC(揮発性有機化合物)の削減などにも取り組んでいます。
また 、2017年3月 期に届け出たPRTR制度※3の 対象物質は9物質 で 、総取扱量は7,826t、う ちトルエ ン が 7,730tでした。トルエンの大気への排出量は471tで前期より30t増加しましたが、廃棄物として処理される移 動量は467tで前期より27t減少しました。
環境配慮製品
当社グループでは、近年の環境意識の高まりを受け、リユース(再利用)・リサイクル(再生利用)や省エネと いった幅広いニーズに対応した製品の開発に注力しており、さまざまな環境配慮製品をラインアップしてい ます。
※1 REACH規則:EUの化学物質規制で、化学物質の登録・評価・認可・制限に関する規則の略称
※2 RoHS指令:電気・電子機器への特定有害物質の使用を制限するEU指令
※3 PRTR制度:事業者が対象化学物質を排出・移動した際には、その量を把握し、国に届け出る義務を定めた制度
使用済みペットボトル由来の再生PET を利用したラベル素材
日差しの熱エネルギーをカットする ウインドーフィルム
リユース、リサイクルに配慮した強粘着 再剥離タイプのラベル素材
事業継続への取り組み
当社グループでは万一災害などが発生しても、事業の継続あるいは早期再開ができる体制の構築に取り 組んでおり、国内全拠点と東京リンテック加工株式会社、リンテック・スペシャリティー・フィルムズ(台湾)社が BCMS(事業継続マネジメントシステム)の国際規格「ISO22301:2012」の認証を取得しています。事業活動を中 断させるような自然災害や事故などが発生した際 、従業員の安全を確保したうえで速やかに製品供給を再 開し、お客様をはじめとするステークホルダーへの影響を最小限に抑えることができるよう、各拠点で勉強会 や演習を実施しています。
また、製品の安定供給に必要な原材料のサプライヤーに対しても、その事業継続能力の評価を行うととも に、BCP(事業継続計画)の導入と組織的に運用する体制の整備を要請しています。
本部長メッセージ
取締役 常務執行役員 生産本部長 川村悟平
生産現場の目標は、端的に言えば安全、品質、歩留まりの三つとなり ます 。生産本部長としてこの三つを 追求していくとともに、スピードにもこだわって各施策に取り組んでいきます。
中期経営計画「LIP-2019」においては、まずは国内工場をさらにしっかりとしたものにしていきたいと考えて います。市場の動向を見極めながら、工場の再構築や老朽化した設備の更新など、将来の生産基盤強化に 向けた投資を検討していきます。また、海外売上高比率が高まる中で、海外の生産拠点の重要性が増して います。現在、中国・東南アジアの印刷材・産業工材関連の拠点が苦戦していますが、生産本部としてこれ らの拠点を全力でサポートし、収益の改善を目指していきます。さらに米国では、昨年子会社化したメーカー 2社との相乗効果をいかに早く出せるかが鍵となります。マックタック・アメリカ社のホットメルト粘着剤の処方 技術やVDI社の蒸着技術は魅力的で、「LIP-2019」期間中に相乗効果を創出していきたいと思います。
当社では以前から各工場で現場改革活動に取り組んでいるほか、今年4月に国内全工場の担当者を集め て全社安全大会を開催しました。各工場での安全に関する活動の発表や意見交換によって、良い取り組み の横展開や改善点の発見につながりました。今後も安全を徹底し、現場力を高めていきたいと思います。